富士山・富士山本宮浅間大社にまつられている神様といえば「コノハナサクヤヒメ(ヒメ)」。
表記はいろいろあるが、日本書紀では木花開耶姫と書くらしく、大山祇神(オオヤマツミ)の娘です。オオヤマツミは、浅間大社北西にある富地神社の祭神です。
天照大神(アマテラス)の孫である瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)と結婚したのだが、姉にイワナガヒメ(磐長姫)がいて、実は姉妹でニニギノミコトのところに嫁いだそうです。(父が押し付けたともいわれる)
しかし、姉のイワナガヒメがあまりに醜かったので送り返されてしまい、悲しんだイワナガヒメは雲見に隠れ住んだという伝説があり、伊豆の松崎町、烏帽子山にある「雲見神社」に祀られています。(他に、反対側の伊東市の大室山にもイワナガヒメを祀っている浅間神社があります)
このエピソードに着想を得たのかどうかわかりませんが、静岡には「駿河富士」と「下田富士」の昔話があります。美しい妹の富士山を嫉妬した姉の下田富士は、顔も見たくない、と屏風をたてたのが天城山だとか。皮肉にも、姉を気遣った妹の駿河富士が背伸びして姉を覗き込んだためにますます背が高くなり、下田富士はますます小さくなり、標高187mになってしまったとか。
そんなわけで、富士山にまつわる伝説、いわれはいろいろありますが、実に人間味のある話が多いですね。
美人のコノハナサクヤビメは、その後めちゃ幸せだったか?というとそうでもなく、
妊娠したら旦那のニニギノミコトに
「それ、本当に俺の子供か?」
と疑われ「じゃ、あんたの子供なら、火の中でも生きられるわね(怒)」と、
火をつけて出産に臨み、無事生まれた三兄弟の一番下の弟が、初代天皇、神武天皇の祖父になるホオリとなったんだそうな。(ハチャメチャやん)
そんなこんなで、コノハナサクヤヒメは「火の神」ともいわれるが、富士山本宮浅間大社の社伝では、富士山の噴火を鎮めるために祭られた「水の神」とも言われて、いったいどっちやねん!と突っ込みたくもなる今日この頃です。
その辺の寛容さ、自由な拡大解釈のあり様が今日の日本人のおおらからにつながっているのかもしれないな、と思うと面白いものです。